カラーコンタクトレンズユーザーの対処法について、 イワサキ眼科医院の岩崎直樹先生に伺いました。

大阪府大阪市・イワサキ眼科医院

− 国民生活センターからカラーコンタクトレンズ(カラコン)の安全性に関する報告書が出されるなど、カラコンの問題は社会的にも注目されています。今回はカラコンユーザーへの対処法について、イワサキ眼科医院の岩崎直樹先生にお話を伺います。カラコンユーザーは、眼科の診療を受けないインターネットや大型ディスカウント店でレンズを購入されることが多いようですが、イワサキ眼科医院ではカラコンを処方されていますか?また、先生が処方されるのはどのようなレンズですか?(注:本稿における「カラコン」には、おしゃれ用カラーコンタクトレンズ、およびサークルレンズが含まれます)

岩崎Dr: 当院でも処方していますよ。ただし、何でもよいというわけではなく、処方するレンズには基準があります。まず、酸素透過率(Dk/L)が20~30程度あること。グループ2か4のレンズが多くなります。シリコーンハイドロゲルレンズが登場する以前の標準的なレンズ素材ですね。カラコンは低含水性素材で厚いレンズが多いのですが、これは、酸素透過率が低く、問題の多かった従来型のレンズと同等で、このような過去の遺物のような素材のレンズはとても処方できません。次に、色素がレンズ表面に露出していないサンドイッチ構造が確認できること。レンズをこすると色が落ちてしまうようなレンズは処方できません。三つ目は、1日使い捨て、あるいは最低でも2週間交換レンズであること。この3つがクリアできているカラコンを処方しています。カラコンを使っている人は眼障害が多いというイメージがあると思いますが、基準を満たしたカラコンであれば、眼障害に関しては透明なレンズと違いはあまりありません。

− インターネットや大型ディスカウント店などでカラコンを購入された人がイワサキ眼科を受診することはありますか? 

岩崎Dr: もちろんあります。ただ、インターネットなどで購入された人は基本的にトラブルを起こしたときにしか来ません。トラブルを起こした患者しか来ませんから、インターネットで売られているカラコンには、正直言って良い印象は持てないですね。先ほど言ったような比較的安全なカラコンに変えてもらうように話をします。以前、乱視のあるカラコン患者が来院して、「乱視用があるのはこのカラコンだけ」と言ってきたことがあり、基準を満たすカラコンには今のところ乱視用がありませんので、定期的に診ながら、経過観察しているケースもあります。また、低含水率素材で厚みのあるカラコンは、酸素透過率が低いことが問題になりますが、1日使い捨てや2週間交換の薄いレンズよりも乾燥感は少ないことがあります。乾燥感を訴える患者もそのまま経過観察しています。
カラコンのトラブル自体は2~3年前の一番ひどかった頃と比べると、少し減ってきているように感じます。マスコミやインターネットなどの情報から、カラコンの安全性についてユーザーも考えるようになってきたのではないでしょうか。

− カラコンユーザーの眼障害の特徴は何かありますか?

岩崎Dr: 角膜輪部の炎症が強いのが特徴です。低含水、低酸素透過率の硬いレンズ素材で、BCが1種類しかないレンズも多いので、角膜周辺部を圧迫していることが考えられます。それに、色素の露出なども問題でしょう。角膜に傷ができていたり、充血などがあったりしても、カラコンが入っていると見逃すことがありますから、検査するときには必ずカラコンをはずす必要があります。当院ではもちろん全例レンズをはずして検査しています。

− カラコンユーザーと透明なレンズのユーザーで何が違うのでしょう?

岩崎Dr: カラコンを使っている人は3つのタイプに分かれます。一つ目は、これまで透明なレンズを使っていてカラコンを使い始めた人。二つ目は、親がコンタクトレンズユーザーで、初めてのコンタクトレンズがカラコンなのだけれど、コンタクトレンズは眼科で検査と処方が必要だとわかっている人。三つ目は何も知らずにインターネットや大型ディスカウント店でカラコンを購入し、使い方やケアの指導も受けずに野放しになっていて、コンタクトレンズの貸し借りなども友人同士で平気でしてしまう人たちです。最初の二つのタイプの人たちはほとんど問題ないですね。三つ目のタイプの人たちは、眼科には合併症を起こしたときにしか来ませんから、そのときにきちんとメッセージを伝えることが大切です。こういった患者が来院したときには、頭ごなしに怒っては絶対にだめです。まず、怒らないこと。怒らずに、「痛かったでしょう。大変だったね」とちゃんと受け止めてあげる。そして、「君の目を全力で治してあげるから、目薬はちゃんとするんだよ」とこちらの姿勢を示すことも大切です。そして最後に、「でも、このレンズはやばいよ」ということを言っておくと、心にメッセージが残ります。患者の意識が変わることがあります。そうなってくれると、カラコンの種類を変えたり、次のときにも眼科に来てくれるようになります。ただ、トラブルを起こしても眼科にかからない人がほとんどですから、眼科にも来てくれない人はどうしようもないのが実情です。

処方箋なしで購入したカラコンを連続装用で使用し、
羞明と眼痛と異物感を訴えて来院した患者の左眼。
著明な輪部充血を認める。ステロイド点眼剤を処方し、
3日後の再診を指示したが、来院せず。
同レンズを使用し続け、3ヵ月後に再発した。

− 今の状況から、カラコンを処方したくない、できればカラコンユーザーを診たくないという先生もいらっしゃるのかもしれません。最後に全国の先生方に一言お願いいたします。

岩崎Dr: カラコンを処方したくないという先生もいらっしゃるかもしれませんが、カラコンだからと見放してしまうと、水面下に潜ってしまうだけです。そうしたらもっとひどいことになります。当たり前ですが、国民の健康を守ることは医師の仕事です。まともなカラコンとそうでないものを峻別することが必要でしょう。何事にもニーズがあって、それに対するベネフィットがある。カラコンでも視力を補正する度付きのものは少なくともベネフィットはあるわけです。その結果、トラブルが起こっているのが今の状況ですから、それに対して医師は積極的に関わっていかなければいけません。「我関せず」という態度は許されないことだと思います。
それと、コンタクトレンズメーカーにはシリコーンハイドロゲルのカラコンをぜひ作って欲しいです。あるいは、今ある中含水のレンズ素材で良いですから、もっとカラーのバリエーションを増やしていって欲しいと思います。比較的安全なカラコンでユーザーのニーズに応えられるようになれば、状況も変わってくると思います。

− ありがとうございました。

岩崎 直樹 Naoki Iwasaki

1985年 大阪大学医学部卒業
1987年 大阪大学医学部研究生
1992年 オレゴン健康科学大学医学部留学
1994年 大阪大学医学部助手
1996年 大阪大学医学博士号取得
1997年 岩崎眼科内科医院副院長
2000年 イワサキ眼科医院院長
専門分野: 専門分野 : 緑内障、角膜疾患、コンタクトレンズ

CLINIC DATA

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大阪市中央区心斎橋筋1-4-27
診療時間
10:00~13:00 14:30~18:30
休診日
日曜日、祝日、水曜日午後、土曜日午後
   
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